第20章 番外編 其の壱【R18含む】
〇
出産から一ヶ月が過ぎ、咲の体調も随分と戻ってきた頃、杏寿郎がある男を伴って帰宅した。
「あっ!!不死川さん!!」
玄関先に杏寿郎と並んで立っていたのは、風柱の不死川実弥であった。
咲にとっては杏寿郎同様に命の恩人であり、兄のように慕っている人物である。
「よォ、咲、久しぶりだなァ」
以前であればここで頭をわしゃわしゃと撫でられたものだったが、さすがに人妻となった今は不死川も遠慮しているようだった。
「咲、不死川からこんなに祝いの品を頂いたぞ!」
そう言って杏寿郎が、背負っていた風呂敷を軽く揺すった。
帰宅した時から「一体何の大荷物なんだろう?」と思っていた咲は、あんぐりと口を開ける。
「えぇっ!!こんなにたくさん?!」
「こんなの少ねぇくらいだろォ。お前らは妹夫婦みてぇなモンなんだから」
「…っ!!ありがとうございます…不死川さん…!!」
涙を浮かべる咲に、不死川は少し焦ったような、照れたような表情を浮かべて言う。
「あー、じゃあまァ、早く赤ん坊に会わせてもらおうかねェ。っと、その前に…」
不死川は杏寿郎に案内されて、槇寿郎の部屋へと向かったのだった。