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【鬼滅の刃/煉獄】冬来たりなば春遠からじ

第20章  番外編 其の壱【R18含む】



そんな杏寿郎のもとへ、咲がやって来た。

「杏寿郎さん、少し町に出かけて参ります」

竹刀を振っていた腕を止め、杏寿郎も振り返る。

「うむ!どこに行くのだ?」

「はい、…実は、月のものが遅れているようなので、念のため産婆さんに診ていただこうかと思いまして…」

「そうか!では俺も同行しよう!!」

「えっ!でも鍛錬の途中なのでは…」

「構わん!」

さっ、さっ、と竹刀を片付けて準備をし始める杏寿郎に、咲はありがたさを感じて微笑んだ。

咲は片腕、片足が無い。

いくら鬼殺隊で隠をしていて一般人より身体能力が高いとは言っても、どんな危険が有るか分からないし不便さもある。

だから日頃から一人で外出することはほとんど無かった。

日々の買い物には必ず千寿郎がついて来て荷物を持ってくれるし、散歩や遊びに行く時は杏寿郎が一緒である。

一人で煉獄家の門を出ることと言えば、ご近所の家におすそ分けに行ったり、町内会の集まりに行く時くらいのものだった。

ちなみに、近所の者には咲の手足について「事故で失った」と説明している。

咲の可愛らしい容姿と礼儀正しい性格もあって、皆理解を示して温かく接してくれている。

だがそれも、この煉獄家という格式高い家柄のおかげが多分にあるのだった。

「すまん、待たせたな!では行こうか!」

そう言って杏寿郎が笑顔で手を差し出してくる。

その手を握って、咲もにっこりと笑った。

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