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【鬼滅の刃/煉獄】冬来たりなば春遠からじ

第20章  番外編 其の壱【R18含む】



慈しむような表情で咲に見下ろされて、杏寿郎の胸もキューンと苦しくなる。

「む…」

と、杏寿郎は今度は腹ばいになると、グイグイと咲の腹に顔をうずめるようにして押し付けた。

その金色の髪の間からのぞく頬と耳が赤くなっているのを見て、咲はますます愛おしい気持ちが溢れてきて、何度も何度も頭を撫でてやったのだった。



そしてまたある日のこと。

二人は自宅近くの多摩川の河川敷まで、ちょっと遠出の散歩にやって来ていた。

多摩川の川面が陽の光を浴びてキラキラと輝いているのを眺めながら、手をつないでゆったり歩いていると、風の香りをかぐようにして顔を上げていた杏寿郎が不意に言った。

「絵にも詩(うた)にもならない平凡な毎日なのに、どうしてこんなに美しく、そして輝いているのだろうと、俺は時々感動してしまうのだ!」

そう言って咲を見下ろして快活に笑う。

その太陽のような笑顔を見上げて、咲もにっこりと笑い返した。

「それは、私も同じですよ」

「そうか!」

「はい」

それから二人は少し手をぶんぶんと振り、ニコニコと笑いながら歩いていったのだった。

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