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【鬼滅の刃/煉獄】冬来たりなば春遠からじ

第20章  番外編 其の壱【R18含む】







その後も、二人の新婚生活は穏やかに過ぎていった。

槇寿郎や千寿郎への配慮からいつでもどこでもという訳にはいかなかったが、ちょっとした合間にちゅっと軽い接吻をし、しっかりと抱きしめ合う。

杏寿郎が非番で共に夜を過ごせる日には、必ずお互いの熱を交換し合った。

杏寿郎は家にいる間も鍛錬をしたり報告書をまとめたりと何かと忙しくしているが、そんな彼の横で家事をしている咲によく幼子のような甘え方をしてくることがあった。

台所で料理をしていれば、後ろからのしっ、とのしかかるように抱きついてくる。

洗濯物をたたんでいたれば、ごろんと畳に腹ばいになって腰に巻き付くように腕を回して抱きついてきたり、後ろから包み込むように抱きしめてきたりする。

ある日も、咲が洗濯物をたたんでいると、杏寿郎がごろんと寝転がって膝に頭を乗せてきた。

「ふふ、杏寿郎さんは結婚してから随分と甘えん坊さんになりましたね」

咲が眉を下げて笑うと、杏寿郎はカッと目を見開いて堂々とした口調で言う。

「むう!それは違うぞ咲!実は俺は昔からこうしたかったのだ!だがずっと我慢していたのだ!!」

寝転びながら腕を組み、例のどこを見ているのか分からない猫の目をしている夫に、咲は吹き出したいのを必死にこらえる。

「あ、そ、そうなんですか」

だがそんな咲の様子が「呆れている」ように見えたのか、不安になったらしい杏寿郎が肘で体を支えながら体を僅かに起き上がらせた。

「…幻滅したか?」

叱られた子犬のように不安げな瞳で見上げてくる杏寿郎。

そんな姿が可愛くて可愛くて、咲はもう胸がキューンと破裂しそうになる。

手に取っていた洗濯物を横に置くと、その手で杏寿郎のふわふわの髪の毛を優しく撫でた。

撫でるたびトサカのような前髪がぴょこぴょこと跳ねるのも愛おしい。

「そんなこと、思っておりませんよ。本当にもう…お可愛らしい人」

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