第20章 番外編 其の壱【R18含む】
夜になった。
昼に充分な時間をかけて色々としたので、さすがにもう夜はゆったり寝ることにした二人は、それでも一緒の布団に寄り添うようにして潜り込んだのだった。
杏寿郎の腕の付け根に頭を乗せて、胸に抱かれるような格好で咲は目を閉じる。
背中に回された杏寿郎の逞しい腕。
触れた肌から伝わってくる温もり。
すでに微かな寝息を立て始めている杏寿郎の健やかな寝顔を見つめながら、咲は思う。
心から愛する人がこうして目の前にいて、抱きしめることが出来きるのならば、もうこれ以上の幸せはないではないか。
「もっと一緒にいたい、もっと杏寿郎さんに触れたい」などと欲張っていた数日前の自分の考えが恥ずかしい。
こんなにも想ってもらえて、こうして抱きしめてもらいながら眠れる幸せ。
これ以上何を望むというのか。
「杏寿郎さん、愛しております」
口の中で呟くように言って、咲は杏寿郎の胸に顔をうずめる。
規則正しく頬を撫でる杏寿郎の吐息の温かさを感じながら、咲も眠りに落ちていったのだった。