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【鬼滅の刃/煉獄】冬来たりなば春遠からじ

第20章  番外編 其の壱【R18含む】



その後は、一体何度互いの熱を交換し合ったのか分からない。

杏寿郎は現役の剣士であるし、咲も元・隠であるため体力は普通の女性よりもずっとある。

だから結局、朝から始まった二人の行為が終わったのは、昼過ぎと言うには随分と遅くなった頃であった。

さすがにぐったりした咲は、力なく布団に横たわっている。

そんな咲のために、杏寿郎が桶に湯を汲んできて丁寧に体を拭いてくれた。

「すまない、さすがに無理をさせ過ぎてしまった」

「いいえ、そんなことはありません。確かに体力は使いましたが、…でも心地よい疲れです」

「うむ…!そうか!俺も同じ気持ちだ!」

そう笑って杏寿郎がちゅっと口づけてきたので、その体を咲は引っ張った。

咲の細腕ごときに引っ張られて体勢を崩すような杏寿郎ではなかったが、その甘い意図の前では、強靭な肉体も骨抜きの軟体動物に成り下がる。

どさっ、と咲の隣に倒れ込んだ杏寿郎の体を、咲の右腕が抱きしめる。

二の腕の真ん中で切断されてしまった左腕も、パタパタと翼のように動いて必死に杏寿郎を求めている。

そんな姿が愛おしくてたまらず、杏寿郎もしっかりと咲の体を抱きしめ返したのだった。

咲の着物を引き寄せて体を包むように巻きつけてやってから、再度抱きしめる。

自身の胸にぴったりと頬を寄せている咲の顔を見下ろしながら、杏寿郎はずっと気になっていたことを口にした。

「咲よ、これはまったく気にすることなく答えて欲しいのだが、実は今まで痛かったのではないか?俺が不甲斐ないばかりに辛い思いをさせて、すまなかった」

唐突な、だが何を言っているのかは十分に理解できる杏寿郎の言葉に、咲は驚いたように声を上げる。

「そんな…辛い思いなんて…!!」

痛くないと言おうとした咲の唇に、杏寿郎の指が置かれる。

「君のことを大切にしたいから、本当の事を言ってほしい」

な?と眉尻を下げながら頭を撫でられて、その反則的に素敵な笑顔に咲はうぐぅっと声を詰まらせた。

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