第20章 番外編 其の壱【R18含む】
だが貪るようなとは言っても決して苦痛に感じるようなものではなく、むしろガツガツと今にも食べられてしまいそうなのに、しっかりと咲の呼吸を観察していて、苦しくない程度にまで追い詰めては、的確に快感を刺激してくるのだった。
そのおかげで、口づけを始めて数分もする頃には、咲はヘロヘロの腰砕け状態になってしまっていた。
くたりと力の入らなくなった体が布団に横たえられ、シュルシュルと着物の帯がゆっくりと解かれていく。
下帯以外、すっかり全ての着物を脱がせられてしまった咲は、あられもない格好で布団の上ではあはあと浅い息を繰り返している。
平素であればとても平気ではいられないような格好である。
それも杏寿郎の目の前で。
だが今の咲は、そんなことを考える余裕もないほどに快楽の沼にどっぷりと浸けられていて、今考えられるのは、とにかく杏寿郎のことが愛おしいということだけだった。
杏寿郎の温かな手のひらが太ももをゆっくりと撫で、むにむにとその感触を楽しむかのように数回揉んだ後、ゆっくりと横に開いていった。
足の間に流れ込んできた空気に、杏寿郎の愛撫によって僅かな刺激にも敏感になっている咲の内ももはピクンと震える。
先ほどまで太ももを揉んでいた杏寿郎の手が、いつの間にか消えていた。
そのことに気づいた時には、下帯の上から杏寿郎の二本の指によって秘部が撫で上げられていた。
「はぁ…っん…!!」
それはスリスリと優しい力で、まるで一本の線を引くように上下される。
「んっ、んっぅ…!」
開かれた脚がビクビクと揺れる。
甘い痺れが、秘部の表面から、その奥から、まるで電気信号のようになって脳髄にビリビリと到達してくる。
「んっ、んっ、きょうじゅろ、さぁ…ん…!」
泣きそうな、それなのにこの上なく幸せそうな咲の声を聞きながら、杏寿郎はこめかみに浮いてきた血管がどくんどくんと今にも切れてしまうのではないかと思うほど興奮していた。