第20章 番外編 其の壱【R18含む】
「む」
手のひらに感じた布の感触に、杏寿郎は声を上げる。
杏寿郎はそれをつまみ上げると、くいっくいっと軽く引っ張り上げた。
「咲は、まだ下帯を付け続けているのだな」
「きゃあっ、きょ、杏寿郎さんっ」
咲が顔を真っ赤にして声を上げる。
杏寿郎が引っ張ったのは、言わずもがな咲の下帯の紐で、秘部に喰い込む感触に、咲は頬が燃えるように熱くなるのを感じた。
当たり前のことだが、大抵の女性は男性のように下帯、いわゆるふんどしを付けることなどはしない。
着物を着ている女性は腰巻を付けるのが普通である。
だが鬼殺隊においては、女性隊士も下帯を装着するのが一般的だった。
何故かと突き詰めて問われると誰もその経緯を説明できないのだが、おそらく着物と違い股間の擦れる袴を履いているので、女性にも男性同様に保護するものが必要なのではないか…と唯一力説していた前田まさお先輩(通称・ゲスメガネ)の説が今現在のところ最も有力なものとなっているらしい。
そんな訳で、咲も例に漏れず下帯を付けており、それは隠を引退した今でも習慣として続いていた。
下帯に慣れてしまうともう、腰巻のスースー感が不安で仕方ないのだ。
咲の上げた悲鳴ですら可愛くて仕方のない杏寿郎は、もう少し引っ張ってみたい気もしたが、あまりにも咲が恥ずかしそうにしているので下帯を引っ張るのをやめて、今度は優しく尻を撫で始めた。
「ははは、すまない。あまりにも君のお尻が可愛くて、つい意地悪をしてしまった。許してくれ」
そう言ってちゅっと軽い口づけをする。
それからペロリと咲の唇を舐めて、また貪るような口づけを開始したのだった。
先ほどまでのまったりとした空気がまた一変して、杏寿郎の野獣のような接吻に、咲はもうされるがままに貪られるしかなかった。