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【鬼滅の刃/煉獄】冬来たりなば春遠からじ

第20章  番外編 其の壱【R18含む】



「はぁ…っ、あっ」

ついに呼吸が続かなくなった咲の体がぐにゃりと弛緩して、背に回された杏寿郎の腕に全体重をかけるようにもたれかかった。

その軽い重みを腕に感じながら、苦しげに、だが眉を悩ましく寄せた表情で必死に酸素を求めて口をパクパクとさせている咲の顔を見下ろしていると、杏寿郎の下腹部にはゾクリと甘い痺れが沸き起こってくるのだった。

咲の大きな瞳は涙で潤みボーッとして焦点が合っておらず、陶器のように白く滑らかな肌は、今はまるで桃の花のように柔らかくいじらしい色に上気している。

杏寿郎の貪るような口吸いと力強い抱擁によって、咲は全身の力を奪われたようにヘロヘロになって座位も保てない様子だった。

杏寿郎はそっと咲を畳の上に寝かせると、自分は素早く押し入れまで歩いていき、手際よく布団を敷いた。

「咲…あちらへ行こう」

咲のもとへと戻ってきた杏寿郎は、畳の上で蕩けたように倒れている咲の頬にちゅうっと優しく唇を寄せて、寝室にやって来た時と同じようにその体を抱き上げた。

「は…い」

杏寿郎の胸に抱かれて、未だ恍惚とした表情を浮かべている咲は、無意識なのだろうが杏寿郎の首もとにスリと顔をこすりつける。

その甘えた仕草に、杏寿郎は今すぐにでもめちゃくちゃに蹂躙してしまいたい気持ちと、傷一つ付けることなく両手で包んで温めるようにして大切にしたい気持ちとが、まるで大渦のように湧き上がるのを感じた。

だが、布団に下ろす際に上目遣いに見上げてきた咲の、安心しきった子犬のような目を見たら、もう心臓がキューンと破裂しそうなほど苦しくなって、絶対に絶対に痛くなんてしない、ドロドロに溶けてしまうほどに甘やかしてやるんだ、という思いが一気に胸を占めた。

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