第20章 番外編 其の壱【R18含む】
「きゃっ…!」
「すまん咲!今すぐに君が欲しい!我慢できない!!どうか俺のワガママを許してくれ」
咲の返答を聞く前に、杏寿郎はそのままズンズンと寝室に向かって廊下を歩き出していた。
その間にも、抱き上げてすぐ目の前に来た咲の頬や瞼にちゅっちゅっと口づけを落とし続けている。
「んっ、あっ、きょ、杏寿郎さんっ」
咲が顔を真っ赤にして何を言おうと、杏寿郎は言葉で返答することなく、ただただ口づけによってその答えを返したのだった。
寝室に着くと、畳の上に下ろされた咲はまたもや杏寿郎にガバッと覆い被さられるように抱きしめられ、今度こそはとばかりに本格的な口づけをされ始めた。
もう視界が杏寿郎の顔しか見えないほどに顔を密着させて深く口づけられる。
杏寿郎の大きくて分厚い手が後頭部を支えてくれていなければ、そのまま首がポッキリと後ろに折れてしまいそうなほどの勢いだった。
杏寿郎は、自身の半分も無いような咲の小さな口を、まるでそのまま食べてしまうのかと思われるような動きで夢中で口づけている。
深く口づけたかと思えば、今度ははむはむと咲の唇の柔らかさを楽しむように自分の唇で食んだり、その白くて整然と並んだ歯でそっと甘噛みしたりする。
食んだ咲の唇をぺろりと舐めると、またその唇を塞ぐように口づけて、その奥でふるふると震えている小さな舌を、まるでおいでおいでと手招きするように自身の舌で絡め取っていく。
杏寿郎の肉厚で熱を持った舌が咲の薄くて柔らかい舌を、まるで大型動物が小型動物を支配するかのように優しく蹂躙していく。
「んっ…ふぅ…んっ」
甘い吐息の合間に咲が必死で呼吸しているのが分かる。
だが杏寿郎は、呼吸する暇を与えてやれる余裕もないほどに、夢中で咲の口内を愛撫し続けたのだった。