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【鬼滅の刃/煉獄】冬来たりなば春遠からじ

第20章  番外編 其の壱【R18含む】



だが、そんな事を呟いてすぐに、咲はハッと我に帰ったように顔を振る。

「いやいや、何を言っているの私は!私の責務は、炎柱の妻として杏寿郎さんをお支えすること。柱がお忙しいのなんて隠の時から分かっていたことだし、むしろ状況をよく知っているからこそ理解してお支えしなければならないのに!」

パンパンと、今度は自分の頬を叩いて咲は自身を鼓舞する。

「それに!杏寿郎さんは…帰ってきた時には必ず抱きしめてくださるし、…く、口吸いも必ずしてくださる。お家にいる時はできる限り私の側にいてくださるし、お忙しい中でも最大限私に配慮してくださっている。こんなに考えて、想っていただいているのに…!」

そう言って咲は、洗濯籠の中にある次の洗濯物に腰を屈めて手を伸ばす。

だがその拍子に、腹の奥から押し出されるようにしてまた言葉が口から転がり出てしまう。

「…でも、やっぱりもっと一緒にいたいなぁ」

そんな自身の言葉が己の耳に届いて、咲は飛び上がる。

「はぁっっ!!またこんな事をっっ!!あ゛ーッ!!…だめだぁ…私は、どんどんワガママになっていっている…」

しょんぼりしたり、頭をブンブン振ったり、そうかと思えば勢いよく頬を叩いたりしながら洗濯物を干している咲の姿を、廊下の影から見ていた槇寿郎は、「む、むぅ…咲は疲れているのだろうか…?今度外食にでも連れて行ってやった方がよいのだろうか…」とアワアワと口元に手をやったのだった。

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