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【鬼滅の刃/煉獄】冬来たりなば春遠からじ

第20章  番外編 其の壱【R18含む】







ここは煉獄家の広い庭の片隅。

竹を組んで作られた物干し台の前で、咲は片腕を器用に使いながら洗濯物を干していた。

鬼との戦いにより齧り取られてしまった左腕は、丁度二の腕の真ん中辺りから無くなっている。

右足を失った時と同様に、当初は日常生活上様々な場面で難儀したものだったが、咲なりの努力と工夫、そして日々の反復練習による慣れにより、今では大抵の事をこなせるようになっていた。

着物の帯なども一人で結べるよう工夫を凝らしており、綺麗に着付けている姿を見て杏寿郎などはいつも感嘆の声をあげているほどだった。

パンパンと、物干し竿に引っ掛けた着物のシワを伸ばすように叩く咲。

杏寿郎が自宅で過ごす時によく着ているもので、なだらかな明暗のある色合いの生地に任務の際に身につけている羽織と似た燃え上がる炎のような柄が染め抜かれている綺麗な着物だ。

これは煉獄家の男達がよく好んで着ている柄である。

物干し竿に引っ掛けた着物の両端をピンと引っ張って更にシワを伸ばす。

その時、弾けた水滴に混じってふわりと石鹸の清潔な香りとかすかな杏寿郎の匂いを感じて、咲は手を止めた。

「杏寿郎さん…」

咲は今干したばかりの杏寿郎の着物をサラリと撫でる。

杏寿郎は、夜間は鬼殺任務のため当然いつも不在にしている。

夜明け頃に帰ってきてからは、食事と入浴、休養を取って、昼過ぎからは自身の鍛錬や鬼の情報収集などで忙しく働き、夜になればまた鬼殺のために出かけてゆく。

「今日はご用事があると言って昼間から出かけられているし…本当に柱はお忙しくて大変だなぁ…。お身体を壊さないか時々心配…」

それに、と咲は少し顔を俯かせる。

「もっと、一緒にいられたらいいのに…」

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