第20章 番外編 其の壱【R18含む】
だがその前に一つ、ごくごく単純な疑問が宇髄の頭に浮かんでくる。
これは説明する必要も無いほどの、もっと単純で子どもじみたものだ。
「煉獄よぉ、これは決してお前の事を軽侮して聞くんじゃねぇって事を分かった上で聞いてくれるか?」
「うむ!なんだ宇髄!!」
「お前、その、こーいう内容のことを聞きにくるのって、恥ずかしかったりしねぇの?」
杏寿郎に質問の意図が伝わっているかどうかは不明だが、宇髄としては、杏寿郎には羞恥心というものは無いのだろうか?というごくごく単純な疑問を聞きたかったのだ。
大抵の男だったら、他の男にここまで堂々と閨(ねや)の作法を聞きに来たりなどしないだろう。
よしんば聞きに来たとしても、そこにはどこかいやらしさが漂うに違いない。
それがこの男の明朗さ。
ほの暗いところなど一切感じさせない、例えるならそうまるで真夏の青空のようではないか。
それほどの清々しさなのだ。
だからこそ、この男の精神構造にも興味が沸く。
「恥ずかしいか恥ずかしくないかで言ったら、もちろん恥ずかしいな!!男として不甲斐なし!!だが、俺はそんな恥や外聞なんかよりも咲に痛い思いをさせてしまう方が嫌なのだ!!咲に辛い思いをさせないためだったら、俺は何だってしよう!!」
ぐぐっ、と杏寿郎は組んでいる腕ごと胸を張る。
「それに、愛する者の為の行為だ!おおっぴらにすべきものではないが、恥じることなど無いことだと思っているっ!!」
清々しいほどの大音量で返された言葉に、数秒の間を置いて宇髄の口元にはゆっくりと笑みが浮かんでいった。
「…やっぱお前、ド派手に良い奴だなぁ!よぉし!!この宇髄天元様に任せろ!!忍のすんげえ手練手管、全て伝授してやるぜ!!」
「うむ!!よろしく頼む!!」