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【鬼滅の刃/煉獄】冬来たりなば春遠からじ

第19章  その後のはなし



咲は今、三人目の子を身ごもっている。

出産日まではまだ日があるが、お腹は随分と大きくなってきていた。

「あにうえ」と、よちよちと自身の隣に座ってきた妹の頭を撫でながら、桜寿郎は咲達が持ってきてくれた菓子に手を付け始める。

「あ!今日は芋けんぴですね!俺、芋けんぴがいっとう好きです!」

ニコニコと笑う桜寿郎の額に浮いた汗を優しく拭ってやりながら、咲も笑う。

「ふふ、父上様と同じね」

咲は、杏寿郎そっくりにたくましく育っていく我が子を愛おしそうに見つめた。

「はい!俺も父上と同じように、立派な柱になってみせます!」

その口癖を聞くたびに咲は、桜寿郎がまだ火凛よりも幼かった頃のことを思い出すのだった。

あの時も咲のお腹は大きくなっていて、丁度火凛を身ごもっている時だった。

まだまだ甘えたい盛りで、咲にぴったりとくっついていた桜寿郎が、幼いながらも何か遠慮するような表情を浮かべて聞いてきたのだ。

「なぜ、母上には右足と左腕が無いのですか?」

その悲しそうな顔を見て咲は(さて、どう言ったものか)と思ったが、桜寿郎が強くて聡い子であることは十分に分かっていたので、ゆっくりと静かに答えてやったのだった。

「昔、鬼に食べられてしまったのですよ」

一瞬キョトンとした表情が桜寿郎の顔に浮かんだが、それは見る見る内に怒りの表情へと変わっていった。

「僕が父上のような柱になって、必ずその鬼を倒します!!」

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