第2章 逢魔が時
「片足が無いから山では生きていけない」という発言に悪気はなかったのだから、それほど気にすることでもないのだろう。
それに、もともとの彼の性格から言っても、あまり細かい事を考えるようなタイプには見えない。
「咲、昨日は大変だったね。改めて、俺は竈門炭治郎。足の具合は大丈夫?」
善逸をやっとこさ自身の隣に座らせて、炭治郎が改めて咲に向かい合って言った。
「はい。義足が治るまでは松葉杖が手放せませんが、日常生活では問題ありません」
それから咲はスッと居住まいを正して、畳に手をつき深々と頭を下げた。
「昨夜は助けていただき、本当にありがとうございました」
その礼儀正しい挙動があまりにも美しくて、炭治郎と善逸は思わずポーッと頬を染めた。
「い、いやっ、俺達だって煉獄さんに助けられたようなものだし……」
あたふたと炭治郎が言う。
善逸も同じ様なものだ。
伊之助はなぜか柔軟運動を始めている。