第14章 冨岡さん、一体どういうことですか?
事後処理隊の咲が到着した時、まさに義勇としのぶの連携攻撃によって下弦の鬼が殺されるところだった。
まるで舞を踊るような流麗な動きで鬼を仕留めた二人の姿が、しげみの影から伺っていた咲の瞳に映る。
飛んだ鬼の首。
それは…あの下卑た笑いを浮かべる鬼のものでは、なかった。
「下弦の参、か」
ボトンと落ちた首の、見開かれた瞳を覗き込んで義勇がぼそりと言う。
「冨岡さん、そんな風に覗き込んでいると噛み付かれますよ」
子どものようにしゃがみ込んでいる義勇に、少し呆れた顔をしてしのぶが言う。
その二人に、傷だらけになった炭治郎達が駆け寄った。
「義勇さん、しのぶさん、お怪我はありませんか!?」
「えぇ。炭治郎君達も、私達が来るまでよく耐えましたね」
えらい、えらい、と言いながらしのぶが三人の頭を撫でた。
咲も茂みから出て行こうとしたのだが、その時突如として、しのぶの背後から鬼が飛び出してくるのが見えた。
「しのぶさんっ!!」
とっさに咲は腰の銃を引き抜くと、鬼に向かって発砲していた。
弾は鬼の眉間をまっすぐに打ち抜き、少しだけその動きを止めた。
その僅かな間に、青い光が一閃して、義勇の日輪刀が鬼の首をはねたのだった。