第14章 冨岡さん、一体どういうことですか?
ある山に下弦の鬼が出たという知らせを受けて、義勇としのぶに出動命令が下った。
任務には、炭治郎、善逸、伊之助の三人も参加し、そして咲にも、事後処理任務が命じられたのだった。
鴉からの連絡を受けて現場に向かいながら咲は、もし下弦の弐だったら、という期待と恐怖の入り混じった思いを巡らせていた。
咲の家族と右足を奪った鬼は、甚振(じんしん)と名乗り、今も人を襲い続けている。
以前の任務において偶然にも鉢合わせたことで、そのことを知ったのだ。
甚振はもとは名もない雑魚鬼であったが、千人分の力を持つと言われている咲の右足を食ったことで圧倒的な力を手に入れ、十二鬼月の下弦の弐へと上り詰めていた。
(あの時は岩柱様も駆けつけてくれたけど、被害があまりにも甚大だったから取り逃がしてしまった…)
もし、今日の鬼が甚振だったとしたら……と、咲ははやる気持ちを抑えるように唇を噛み締めて、現場へと駆けたのだった。