第2章 逢魔が時
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咲の義足が直るまでには数日の期間を要することとなった。
その間は蝶屋敷から身動きが取れなくなるのだが、もともと彼女は隠の業務の中でも主に事務処理などを担当することが多かったので、仕事面では特に問題はなかった。
戦闘の事後処理任務につくことは、実はそれほど多くないのだ。
とはいえ、直接現場に赴くことは少ないが、彼女の業務は実に多岐に渡り多忙である。
まず給与の受け渡し。
鬼殺隊の隊士は数百名にも及ぶので、当然一人では配りきれない。
だから分担して行われているのだが、咲が担当する隊士の中には杏寿郎やしのぶが含まれている。
その二人だけではなく、他の柱全員も、咲の担当であった。
それは咲が杏寿郎や不死川、しのぶと面識があり、その繋がりで他の柱とも仲が良かったからである。
柱は鬼殺隊の最高位に位置する階級だ。
隠の中には、というかそのほとんどが柱と接するのを恐れ多いと感じて恐縮してしまう。
だから、「仲良いならよろしく!!」と、押し付けられた感が否めない。
とは言え、特に咲も嫌ではないので全く困っていない。