第13章 小刀と拳銃
炭治郎にはその後、まるで見計らったかのように任務の指令が届いて、翌朝には悲鳴嶼邸を出発していったのだった。
そして咲は、さっそく玄弥に付いて、森の中の訓練場へとやって来ていた。
玄弥が普段訓練をしているというその辺りの木々には、いたる所から木板がぶら下げられており、長さの異なる綱の下で風に吹かれてブラブラと揺れていた。
「拳銃は、慣れねぇと全く的に当たらねぇからな。俺は今はこうして動く標的を相手に訓練してるけど、最初の内はまず止まっているものに命中させられるように練習したよ」
そう言って玄弥は、少し離れたところの地面に打ち付けられた看板のようなものを指さした。
その先端部分には、先ほどの木板と同じように円を何重にもした模様が描かれている。
「俺が最初にお手本をやってみるから、よく見とけよ?」
「はい!」
そう言って玄弥は自身が使用している拳銃を構えると、板に銃口を向けた。
それは咲が支給されたものよりも随分と銃身が長く、長身の玄弥が構えると、その長さはより一層際立つように見えた。
バン、バン、と弾が連射され、打ち抜かれた木板の中央に穴が空く。
「わぁ」
その見事な射撃に、咲が感嘆の声を上げた。
「咲は、まずはこれから練習だな」
ふっ、と銃口から立ち上る煙を吹いて、玄弥が言った。