第13章 小刀と拳銃
「お、咲じゃないか。どうしたんだ?何か届け物か?」
給与の支払い時期にしては早いので、玄関口に現れた咲の姿を見て玄弥は少し驚いたような顔をしてから、ニパッと笑った。
女性に対する免疫が皆無の玄弥であるが、妹枠に分類されている咲には何の緊張もなく接することができる。
「炭治郎も一緒か」
咲の横に立つ炭治郎の姿にも気づいて、その組み合わせにますます首を傾げる玄弥に、咲は武器を支給されたこと、同じく拳銃を支給されている玄弥に教えを請いに来たことなどを丁寧に説明した。
「玄弥さんの訓練を見させていただくだけで構いません。お邪魔にならないように気をつけますから、少しの間ここにいさせてもらえないでしょうか?」
緊張した面持ちで頭を下げた咲に、玄弥は顔をくしゃりと崩して微笑んだ。
「何そんなに改まってるんだよ。そんなの、良いに決まってんだろ!俺もまだまだ修業中の身だけど、俺に教えられることなら何でも教えてやるから」
そう言って、その大きな手で咲の頭をわしゃわしゃと撫で回す。
「あ、ありがとうございます!!」
「良かったな、咲!!」
まるで我が事のように、一緒になって喜ぶ炭治郎。
「きっとこの武器達は咲の力になってくれる。咲なら出来る!!」
炭治郎はぐっと顔の前で拳を握り締めた。
そのまっすぐで力強い言葉に勇気をもらった咲もまた、同じようにしてぐっと小さな拳を握ったのだった。