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【鬼滅の刃/煉獄】冬来たりなば春遠からじ

第13章  小刀と拳銃



その目の中に、メラメラと燃え盛る炎を見たような気がして、炭治郎は自身が鬼舞辻に抱いている怒りのことを思った。

同じだ。

この子は俺と同じ想いを抱いている。

いや、俺だけじゃない。

鬼に大切な人を殺された全ての人が抱く想いを、この小さな体の中で今にも吹き出してしまいそうなほどに抑え込んでいる。

「……あの鬼、甚振(しんじん)、絶対に倒そうな!!」

「はい……!!」

咲がこっくりと頷くのを見て、炭治郎もまた、決意を新たにするのだった。


その後の道中では鬼に遭遇することもなく、二人は順調に悲鳴嶼邸への道のりを進んだ。

炭治郎は匂いで鬼の存在を察知することができるので、鬼が近くにいないと分かっている時は、咲が心細くならないようにと意識的に会話をつなげてやっていた。

その中で咲が少し照れたように言った言葉が、炭治郎の兄心を打ち抜いた。

「前にも言ったかもしれませんが、炭治郎さんといると二番目のお兄ちゃんといるような気持ちになって、嬉しくなるんです」

咲の可愛らしい唇が発した”お兄ちゃん”という単語に、キューン!と炭治郎の心臓は鷲掴みにされる。

胸を押さえてブルブルしている炭治郎に気づいた咲は、慌てて手を振る。

「あっ、すいません、お兄ちゃんだなんて、厚かましかったですよね」

その手をガシッと両手で挟むようにして掴んで、炭治郎がクワッと顔を寄せた。

「全く問題ない!!むしろ咲さえよければ、これからは俺のことをお兄ちゃんって呼んでくれても構わないんだぞ!!」

「えぇっ!」

そのあまりの勢いに、今度は咲が驚く番だった。

さすがに「炭治郎お兄ちゃん」とは呼べないと言うと、炭治郎は「あ、そ、そう…」と急に頬がこけたようになったが、すぐに持ち前の打たれ強さを発揮して普段の様子に戻った。

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