第13章 小刀と拳銃
翌朝、炭治郎のもとに刀が戻ってきた。
みたらし団子パワーで鋼鐵塚が頑張ったおかげで、予定よりもずっと早くに刀の修理が終わったのだ。
「今度壊したら、その時こそ本当に許さねぇからな」
ズモモモと顔に影を落としながら言う鋼鐵塚に、炭治郎は「はいっ」と元気よく返事をした。
そうして咲達はまた、来た時と同じように案内役の隠に背負われて里を後にしたのだった。
無一郎と後藤は鴉からの伝令が入り、一足先に里を出発していたので、帰り道は咲と炭治郎の二人だけだった。
案内役の隠に礼を言って見送った後、くるりと振り返って炭治郎が言った。
「咲はこれからどうするの?」
「私は、まだ仕事の連絡も来ていませんし、玄弥さんのところに行って拳銃の使い方を習おうと思います」
「そうか!だったら、道中一人じゃ危ないから、俺が送っていくよ」
炭治郎の言葉に、咲は慌てて首を振る。
「そんな!炭治郎さんにわざわざそんな事をしていただいては申し訳ありません。それに、普段も一人で行動することは多いですから大丈夫ですよ」
強く遠慮する咲の様子に、炭治郎はちょっと困ったような顔になる。
「でも…この間も襲われたんだろう?」
炭治郎が言っているのは、善逸に助けてもらった時の事だ。
「う…でも、逃げ足には自信があります。今までもちゃんと逃げきれていますし、今は小刀と拳銃もありますから」
「うん…そうだよな。咲の剣さばきは俺も見たから、きっと鬼に出くわしても大丈夫だと思う。なんて言ったって、煉獄さん仕込みの剣術なんだから」
だがそう言いながらも、もともと下がり気味の炭治郎の眉が、へしょ、と更にハの字に下がった。
「でも…でも…心配だよ。俺、まだ指令が出ていないし、玄弥と悲鳴嶼さんにも会いたいから、一緒に行っちゃダメかな?」