第13章 小刀と拳銃
「炭治郎だけじゃなくて、お前も里に行くのか?何か任務か?」
「いえ、任務ではないのです。実は…私があまりにも鬼に襲われるので、お館様と音柱様のご配慮で武器を支給していただけることになったのです」
「武器!?」
隠が武器を持つなど初めて聞くことなので、後藤は驚いたように声を上げた。
だがすぐに、顔布に隠れて正確な位置は分からないが、顎の辺りに手を当てて「ふーむ」と言った。
「ま、でも、その方がいいかもな。お前、本当によく鬼に追いかけられてるもんなぁ。自衛の手段があった方が安心だよな」
「どんな武器が支給されるんだ?」
炭治郎も興味津々といった様子で会話に加わってくる。
「えっと、実はまだどんなものかは聞いていないんです。でも、あまり重くならないものにしたとのことです」
「そっかぁ!見るの楽しみだね」
「はい!」
咲達がニコニコと言葉を交わしているところへ、三人の隠がやって来た。
咲とはあまり面識の無い隠達であったが、その内の一人がニコリと微笑むと、さっそく目隠しと耳栓を差し出してきた。
「さぁ、出発しましょうか」
穏やかな声の、いかにも優しそうな雰囲気の女性の隠であった。
咲はペコリと頭を下げてから、目隠しと耳栓を受け取った。
目隠しなどあまりすることがないので少しもたついている咲の横で、後藤はあっという間に準備を終え、炭治郎も慣れた手つきで目隠しをすると鼻栓まで入れていた。
かくして各々は、案内役の隠に背負われて、刀鍛冶の里へと出発したのだった。