第11章 倒したのお前やで
キィン
と刀が鞘に収められる音が、不思議なくらいはっきりと辺りに鳴り響く。
「……えっ!?」
三人の嫁達と咲の声が重なる。
「鬼が…死んでる?」
「ううん…違う、今のは…」
「なんだ?今の…ほとんど見えなかった…」
「でも、確かに…」
咲達の視線は、刀の柄に手をかけ足を大きく踏み出した姿勢のまま静止している善逸へと注がれる。
ふしゅううう、と細く開かれた唇の間からまだ呼吸の音がしている。
「…や、やったああぁ!!善逸くんが、鬼を倒したああぁ!!」
須磨が弾けるように歓声を上げて、飛び上がった。
それを皮切りにして、まきを達もワッと声を上げる。
「すごいすごい!!一瞬で倒しちまった!」
「天元様の言った通りだわ!」
「善逸さん…!!」
わあぁ、と善逸に駆け寄り声を上げている咲達のもとへ宇髄もズンズンと歩いてくると、未だに目を閉じたまま固まったように動かないでいる善逸の首に腕を回してギュッと絞め上げた。
「オラッ!起きろ善逸ゥ!」
「グエッ!!」
善逸の鼻先で膨らんでいた鼻ちょうちんがパチンと弾け、金色の瞳が見開かれた。
そして地面に転がっている鬼の首を見るやいなや、宇随の腕からスポーンと抜けて飛び上がった。
「ギャーッ、し、死んでるーっ!!」