第11章 倒したのお前やで
それからすぐ、真横に宇髄が立っているのと、嫁達と咲がやんやと喝采を上げているのを見て、涙と鼻水をまき散らしながら宇髄にくってかかっていった。
「アンタ、どうせ倒すなら最初からさっさと倒してよーっ!!何で俺のことを怖がらせるんだよぉ!!!」
「あ?何言ってんだお前」
「柱でしょーがっ!!強いでしょーがっ!!こんな鬼、瞬殺でしょーがっ!!こんな乱暴な修了試験ある!??ひどすぎじゃない!!?」
その口ぶりからは、鬼を倒したのは宇髄だと思っていることがありありと見て取れ、咲達は驚いて口々に善逸に言った。
「いやいや、鬼を倒したのはお前だぞ?」
「善逸くんがズバーッと鬼の首をはねたんですよ!?」
「善逸くん、すごかったわよ!」
「善逸さん、助けてくれてありがとうございます!!」
わらわらと女性四人に囲まれて、何のこっちゃわからなかったがとりあえず善逸はデヘッと鼻の下を伸ばす。
だが、鬼を倒したことについてはどれだけ言われようとも、
「えっ??そんな訳ないじゃないですか!!俺を騙そうとしたって、その手には乗りませんよ!!」
と、意外なほど頑なに信じないのであった。
とにもかくにも、善逸は無事に宇髄の修了試験に合格することが出来たのだった。