第11章 倒したのお前やで
そんなことを思いつつ、咲が善逸をなだめてやっていると、唐突に宇髄が何か閃いたような顔をして声を上げた。
「よし!咲のおかげでもうほとんど書類の処理も終わったし、明日は久しぶりにみんなで温泉にでも行くかぁ!」
「温泉!?きゃー!やったぁ!!」
真っ先に須磨が喜びの声を上げる。
「いいですねぇ」
まきをも嬉しそうに頷いた。
「実はね、ちょっと遠いんだけど、穴場の露天風呂があるのよ」
雛鶴が、咲と善逸に説明してくれる。
「へぇー、そうなんですか!露天風呂、気持ちよさそうですね」
「ちゃんと男女別になってるから安心してね」
「えへっ、えへへ、僕は混浴でも一向に構わないんですけど…」
デレデレと表情を緩ませた善逸の首に、宇髄の丸太のような腕がぎゅうっと回される。
「お前は俺様と裸の付き合いだ。感謝しろよ」
「ぐ、ぐえええっ」
首をへし折られそうな圧迫を受け、善逸は押しつぶされた蛙のような声をあげる。
それを見て咲達は、可笑しそうに笑ったのだった。