第11章 倒したのお前やで
音柱である宇髄天元は、元忍という経歴からその身体能力は群を抜いて高く、身長は優に六尺を超え、顔立ちも整い、滅多にお目にかかれないような美丈夫である。
その恵まれた体格や容姿が影響しているのか、性格は自信満々で、初対面の印象としてはやや尊大に感じるほどだ。
まさに唯我独尊といった感じの男なのだ。
通常、鬼殺隊に入隊してから柱になるまでは、どんなに早くても二年程度かかると言われている。
だが宇髄は、それを上回る早さで柱に就任した。
つまり、素晴らしくデキる。
だが自分がデキるが故になのか、杏寿郎のように平隊士に気を配り「俺が育ててやろう」という意識はあまり持っていないようであった。
そもそも強くなりたいのなら、まず自分で努力しろ。
死にたくないなら鍛錬しろ。
そんな考え方なのかもしれなかった。
弱肉強食の厳しい忍の世界で育ってきた宇髄ならではである。
そんな彼が、わざわざ自宅の所在地を明かしてまで善逸を呼び寄せた。
こんな風に一人の隊士を個別に気にかけることなど、とても珍しいことだと言えた。