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【鬼滅の刃/煉獄】冬来たりなば春遠からじ

第10章  産屋敷財閥に任せなさい



「活動写真かぁ」

活動写真とは、時代劇や演劇などを大きな劇場で鑑賞するものであり、最近では映画などとも呼ばれているらしい。

昔、祖父に連れられて街で何度か観たことがあった。

普段は目にすることが無いような大きな画面の中で、まるでそこに人がいるかのようにクルクルと登場人物達が動き回るのを見ていると、例えようもないほどワクワクしてくる。

祖父は、家業で忙しい両親に代わって、よく自分や兄達を遊びに連れて行ってくれた。

父曰く、昔は仁王様のように怖くて厳しい人だったそうだが、孫が生まれてからは人が変わったように穏やかになったらしい。

優しい祖父の顔しか知らない咲からしたら、そんな話を聞いてもいまいちピンと来ないのだった。

などと昔のことを思い出して咲は悲しくも懐かしい気持ちに包まれる。

「でも、チケットもらったのはいいけど…どうしよう。あっ、蝶屋敷のみんなでも誘ってみようかな?丁度、香水を貰いに行く時期だし」

そう思い、咲は蝶屋敷へと足を向けた。

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