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【鬼滅の刃/煉獄】冬来たりなば春遠からじ

第8章  あなたの笑顔が見たいから



「キュンとする殿方……?」

そう問われて咲の頭に真っ先に浮かんだのは、杏寿郎の顔だった。

(……ハッ!!杏寿郎さんはカッコイイし面白いし大好きだけど……、命の恩人であり、師であり、兄のような存在だから……)

「ん~?咲ちゃん、誰のことを考えているの?」

ニコニコと、甘露寺に見つめられていることに気付いた咲は、慌てて顔を振った。

「い、いえっ!別に誰も…!」

真っ赤になって俯く咲の様子を見て、甘露寺は口元を押さえて体をプルプルと震わせる。

「きゃああ!可愛いわ!」

そう言ってギュウッと甘露寺は咲の体を抱きしめた。

ふわりと香る花のような良い香りに、咲は思わず目を閉じる。

先日もみくちゃにされた時に感じた杏寿郎や不死川、宇髄のムキムキした硬い体と違って女性らしい柔らかな体。

そんな風にして甘露寺に抱かれていると、咲はふわふわと気持ちまで柔らかくなっていくような気がするのだった。

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