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【鬼滅の刃/煉獄】冬来たりなば春遠からじ

第8章  あなたの笑顔が見たいから



何しろ、杏寿郎がそのような表情を見せるのは本当に一瞬だけで、しかも注意深く見ていないと見逃してしまいそうなほどにさりげない。

そして、咲のことを大切に想っている気持ちが溢れ出しているというのに、決してそれを言葉にして言ったりはしない。

(尊いわっ!師範、なんてピュアなのかしら!可愛いわっ!それに、師範の気持ちにあまり気づいていない感じの咲ちゃんも可愛いわっ!でも……)

実は甘露寺は、咲側の感情にも気がついていた。

杏寿郎が、背を向けた時や千寿郎や他の者に目を向けている時、その姿をそっと見つめているのだ。

とてもとても優しい眼差しで。

(二人共……お互いに好き合っているのに、気づいていないなんて。これが両片思いってやつなのかしらっ)

煉獄家でお世話になっている間、甘露寺は一体何度心の中で身悶えたことか分からない。

辛く厳しい修行の中で、この二人の恋路を見守るのは日々の楽しみになっていったのだった。

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