• テキストサイズ

【鬼滅の刃/煉獄】冬来たりなば春遠からじ

第2章  逢魔が時


ピーッと沸騰したヤカンのように鼻から湯気を吹き出し始めた善逸に、さすがに興奮しすぎだと思った炭治郎が、彼女から引き剥がそうとして腰を上げた。

だが、それよりも早く動いた者がいた。

「はっはっはっ!!君は少し落ち着くといい!!」

そんな声が座敷に響いたかと思ったら、次の瞬間には善逸の体は次の間にまで吹き飛ばされていた。

バーンッ、バタンッ、と襖が倒れる音がする。

「えっ……?」

吹き飛ばされた善逸はもちろんのこと、止めに入ろうとしていた炭治郎も、その光景に目をまん丸に見開いた。

一体何をどうやったのか、全くその動きが見えなかった。

だが確かに、善逸を吹き飛ばしたのは杏寿郎だった。

ちなみに伊之助は、お茶請けに出されたおかきを食べるのに夢中で、この状況に全く頓着していない様子だ。

目を丸くしたのは咲も同じことで、自分の手を握り締めていた善逸の姿がフッと消えたかと思ったら、次の瞬間には数メートル離れた場所で転がっていたので、呆然としていた。

自身の手を握っていた手はスパッと離れていき、いささかの振動すらも感じなかった。

それほどの早業だったのだ。

/ 525ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp