第7章 不死川は…おはぎが好きなのか…
甘露寺が楽しそうなので伊黒もご機嫌であったが、先ほどから何やら向こうの方が騒がしいことに気がついていた。
「あいつら……さっきから何をしている」
伊黒がジロリと視線を向ける先には、なぜかものすごく期待のこもった目をして、仁王立ちしている杏寿郎と不死川の姿があった。
無一郎もそれに気づいており、
「何やってんだろ、あの人達……」
と若干呆れ顔である。
二人は咲が注文するのを今か今かと待ちわびているのだった。
そうとも知らない咲は、じいっ、と熱心にメニュー表を見ていたが、おもむろにパタンとそれを閉じると顔を上げて言った。
「私、天ぷら蕎麦にします!」
先日、伊之助が「てんぷら、てんぷら」と言っていたのを聞いてから、天ぷらが無性に食べたくなっていたのだ。
「よもや!!」
「蕎麦……だとォ…!?」
まさかの、肉でも魚でもない注文内容に、杏寿郎と不死川は畳の上にガックリと膝を折った。
その姿を見て笑い転げる宇髄。