第7章 不死川は…おはぎが好きなのか…
「あっ!師範ー!」
煉獄達の姿に気付いた甘露寺が、ニコニコと可愛らしい笑顔を浮かべて手を振ってくる。
そんな彼女の目の前には、空になった食器がすでに山のように積み上げられていた。
「咲も来たんだ。お腹空いたでしょ、早くこっち来なよ」
咲と同い年でありながら、すでに柱となっている無一郎が丈の長い袖をフリフリと揺らしながら咲のことを手招きする。
「咲、この店の料理はどれも美味いぞ。早く座るといい」
甘露寺の隣に座っている伊黒も、咲に向かってチョイチョイと手招きをしている。
その肩に乗っている鏑丸も、まるで咲を呼んでいるかのように首を振る。
「あ、あの、相席で大丈夫です」
咲は、面食らったような表情をしていた店員の女性にニコリと笑って伝えた。
柱の男性陣は、職業柄当然のことなのだが、一般人に比べると随分と大柄であるし体も鍛え上げられているので迫力がある。
女性も混じっているとは言え、そんな男達が何人もゾロゾロと一斉に来たものだから驚いたのだろう。
咲の声かけに彼女も少しホッとしたように笑い、「かしこまりました。ご注文がお決まりになりましたらお呼びください」と言って厨房の方へと戻っていった。
ドヤドヤと、杏寿郎達も座敷へと上がっていく。
座敷を横断するように置かれた横長の大きな机は、丁度10名座れるようになっていた。
座敷に上がった者から順に座っていけばよい、ただそれだけのことなのだが、ここでトラブルが発生した。
誰が咲の隣に座るのか、という問題である。