第7章 不死川は…おはぎが好きなのか…
その定食屋は、産屋敷邸から一番近いところにある店で、柱達は以前から割とよく利用しているのだった。
今回のように柱合会議の後に腹ごしらえをすることもあるし、会議の時間よりも早く着いてしまった時などに、ここに入って時間を潰すこともある。
「いらっしゃいませー!」
ガラララと店の引き戸を開けると同時に、店員の女性の元気な声が飛んでくる。
「6名なのだが、席は空いているだろうか!」
一番最初に店に入った杏寿郎が大きな声で言う。
「あっ、えーと……」
女性は店内の混み具合を見回してみてから、少し申し訳なさそうに言う。
「相席でもよろしければご用意できるのですが…。あちらのお座敷席なんですが……」
女性店員の示した先は、テーブル席の並ぶ土間から一段上がったところにある横に長い座敷席で、すでに何名かの客が座っているのが襖の向こうに見えた。
1、2、3、4…名ほどだが、その内の一人がやけに体が大きいような……
「む!悲鳴嶼殿ではないか!無一郎も!それに、甘露寺と伊黒まで!」
「煉獄、…それに、皆も勢ぞろいだな」
くるりと振り向いた悲鳴嶼の手には天丼の大きなどんぶりが、まるで小ぶりの茶碗のように乗せられていた。