第7章 不死川は…おはぎが好きなのか…
そんなことを思っていた時、ふいに後ろから声がした。
「咲」
振り返ると、そこには杏寿郎と不死川、宇髄の姿があった。
「あれっ、皆さんもまだ残っていらしたのですね」
義勇だけでなく杏寿郎達まで残っていたことに、咲は驚いて少し目を丸くする。
何か用事があったのだろうか、と頭を巡らせた。
「うむ、次の任務のことで少し情報共有することがあってな。そうしている内にこんな時間になってしまった。これから皆で飯を食いに行こうという話になっているのだが、咲と冨岡もどうだ?」
「咲も行くだろ~?おはぎの礼もしてぇし」
そう言って宇髄が咲の肩に腕を回す。
顔が良いだけに、その行動が驚く程自然に見える。
「オイ、宇髄さん、そんなにのしかかったら咲が重いだろうが」
不死川が、年長者に対する礼儀は一応わきまえつつも言う。
だがその目は若干血走っていて、すでに半ギレ顔だ。
「む!咲、こっちへおいで!」
猫のように目を見開き眉間に二本線を寄せた杏寿郎も、まるで小さな子どもを呼ぶかのようにして手を広げて寄ってくる。
ギュウギュウと、筋肉質な男達に群がられ咲がアップアップしていると、また後ろから声がした。
「皆さん、私の咲に何をされているのですか?あまり乱暴なことはしないでいただきたいのですが」
美しい微笑みの上に、憤怒の色を絶妙に貼り付けたしのぶが、背後から影を出しながら立っていた。
美人のキレ顔は迫力がある。