第7章 不死川は…おはぎが好きなのか…
「うん、うん。ありがとう咲、よく分かったよ。では引き続きよろしく頼むよ」
咲からの報告を聞き終えた耀哉は、にっこりと微笑んでそう言った。
「でも、くれぐれも無理はしないようにね」
「はい」
耀哉とひなきが見送る中、咲は来た時と同じように深々と頭を下げて退室したのだった。
玄関に向かうまでの道のりを、ホワホワとした足取りで歩く。
耀哉との面談はとても心地よい。
もちろん緊張が全く無い訳ではないのだが、あの穏やかな、包み込まれるような不思議な声を聞くと、まるで心が癒されていくようだった。
鬼殺隊当主である耀哉が、たかがいち隠である自分にここまで気を配ってくれることに、咲は言葉では言い尽くせないほどの感謝を感じている。
鬼殺に尽力しているのは、もちろん自分の目的のためだ。
家族を殺したあの鬼を、いつか討ち取るため。
だが、耀哉のためだったら何をおいても尽力する、そんな風に思わせるカリスマ性が彼にはあるのだった。