第7章 不死川は…おはぎが好きなのか…
「うん、うん。そうなんだね」
耀哉は咲の話を聞きながら、その可愛らしい表情がコロコロと変わるのをニコニコとして見つめていた。
彼女とこうして定期的に面会しているのは、もちろん彼女がとてつもない力を持った稀血であるからである。
だが、ただそれだけの事務的な理由でそうしている訳ではない。
咲の身の上については、もちろん耀哉も承知している。
そして、その不自由な足で隠の仕事を必死にこなしていることも。
耀哉はその立場上、一人の隊士にだけ特別に肩入れをすることはしない。
というよりも、どの隊士に対しても親身になって考え、言わば全員の隊士に対して特別な肩入れをしているような、それほど隊士達に心を配っていた。
咲に対してもそれは同じで、まるで自分の本当の子どもであるかのように気にかけているのだった。
自分もかつて、鬼殺隊に入り剣を振るいたいと思ったことがあった。
だが、生まれついての病弱な体では、竹刀を数回振るだけでも精一杯で、とても剣士として戦えるようにはなれなかった。
どうしようもないハンデを背負っていた。
そして、それは咲も同じだった。
彼女の場合は鬼に右足を齧り取られ、他人の支え無しでは立ち上がることすら難しい体になってしまった。
それだというのに彼女は、義足をまるで自分の本当の足のように使いこなせるまでに鍛錬し、隠として剣士の補佐を十二分にしてくれている。
自分には成し得なかったことを、この小柄な少女は成し遂げている。
それは賞賛に値することだと、耀哉は震えるような感動を覚えているのだった。