第7章 不死川は…おはぎが好きなのか…
「お館様、参りました」
と、耀哉から数歩離れたところで咲が膝をついて頭を下げると、耀哉はふわりと笑って手招きをした。
「さぁ、こちらへおいで」
「はい」
咲は、その包み込まれるような微笑みにフワフワと浮き立つような気持ちになりながら、耀哉の隣に腰掛けた。
「先ほどのおはぎ、とても美味しかったよ。咲と義勇だけで、あれだけの量をよく作ってくれたね。とても嬉しいよ」
「ありがとうございます」
耀哉の心地よい声に包み込まれながら、咲は嬉しさで顔をほころばせる。
「義勇さん……冨岡様が、不死川様との親交を深めるために考案されたのです」
「そうか、義勇がそんな風に考えてくれたんだね。実弥の好物がおはぎだと知った上での行動だったのか。実弥も、あの通り少し照れ屋なところがあるからなかなか素直には言えないだろうけれど、義勇の気持ちはきっと嬉しく思っているはずだよ」
「はい」
咲が嬉しそうに笑うのを見て、耀哉もにっこりと微笑んだ。
「さて咲、近況などを聞かせてもらえるかな。何か困ったことなどは無いかい?」
耀哉にそう問われて、咲は最近の出来事などを話し始めたのだった。