第7章 不死川は…おはぎが好きなのか…
そっと、杏寿郎の隣に座っている義勇に視線を送ると、それに気付いた義勇は口元に微笑みを浮かべて小さく頷いたのだった。
(あぁっ!皆さん、義勇さんの顔を見てくださいっ!あの柔らかい表情を!!)
咲は思わずそう叫びだしたい衝動にかられるが、さすがにこの場でそれをする勇気はなかった。
そんな風にして咲が悶絶している内に、義勇の顔はまたいつも通りのスンとした無表情に戻ってしまったので、咲はガックリと肩を落とした。
「義勇、咲、とても美味しいよ。良い差し入れをありがとう」
上座に座っている耀哉が、そう言ってにっこりと微笑んでくれる。
その包み込まれるような笑顔を見ると、咲と義勇はまるで夢の中にでもいるかのようにフワフワと幸せな気持ちになるのだった。
そんな風にして休憩を挟みながらも柱合会議は無事に終了した。
ゾロゾロと柱達が帰って行く中で、咲だけは一人、別の座敷に向かって歩いていた。
耀哉との定期的な面談を受けるためである。
いつも面談に使っている座敷の前に到着すると、すでに廊下に ひなき が控えてくれていて、
「どうぞ」
と、部屋の中に案内してくれた。
そこは先ほどの座敷に比べるとこじんまりとした日当たりの良い部屋で、庭に面した縁側に、すでに耀哉が腰掛けていた。