第7章 不死川は…おはぎが好きなのか…
「うまい!うまい!」
と、杏寿郎が嬉しそうに叫びながらポイポイとおはぎを口に放り込んでいく。
杏寿郎には、五段重ねのお重の内の一つがあてがわれていた。
「きゃーっ、美味しいわ!美味しいわ!」
と、甘露寺もパクパクとおはぎを口に運んでいる。
ちなみに彼女には、五段のお重を二個まるまる渡していた。
(良かった……足りてそう)
杏寿郎や甘露寺の様子を見て、咲はホッと安心する。
杏寿郎の反対隣に座っている不死川も、嬉しそうにもぐもぐと頬張っている。
「よく出来てんじゃねぇかァ。店で売ってるものと遜色ねぇなァ」
先ほどまで義勇に対して心底嫌そうな表情を見せていた不死川だが、今ではその態度がコロッと変わり、この上なく幸せそうな顔をして咲を見つめている。
「とても美味しいですよ、咲、冨岡さん」
「派手にうめぇな!」
「南無……甘味を食べたのはいつぶりだろうか……美味い」
「甘露寺、俺の分もやろう。たくさん食べるといい」
「僕、つぶあんのやつも好きだな……」
皆が口々にそう言ってくれるのを聞くと、頑張って作った甲斐があったと思って咲は嬉しくなるのだった。