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【鬼滅の刃/煉獄】冬来たりなば春遠からじ

第7章  不死川は…おはぎが好きなのか…



だから案の定、音もなく近寄ってきた義勇に不死川のこめかみにピキッと血管が浮いた。

「あァ!?何でてめぇの作ったおはぎを食わなきゃいけねぇんだァ!!まっぴらごめんだぜ!!」

この上ないほどに嫌そうな顔をして、不死川が言い放つ。

二人の普段の関係性から考えれば当然の反応のような気がするが、その言葉に義勇はガーンと傷ついた表情を浮かべた。

(あああぁ!義勇さんが……泣いてしまう)

それで慌てて咲が仲裁に入った。

「そ、そんなこと仰らずに不死川さん!義勇さんも一生懸命作ったので……」

ね?と咲に見上げられ、さすがの不死川も言葉に詰まる。

「……ぐぅっ」

義勇に対してならいくらでも暴言を吐けるが、咲に間に入られたのでは、そんな言葉は一言足りとも出せなくなる。

「……咲も一緒に作った」

叱られた子どもみたいにしょげかえりながらも、義勇がポソリと言った。

「そ、そうなんです!私も一生懸命つくりました!だから……食べてもらえませんか?」

咲のその言葉に、不死川の態度は激変した。

「そうかァ、お前も一緒に作ったのかァ!そりゃあ、食べねェとな」

先ほどまで義勇に向けていた殺気立った表情から一転して、兄のような笑顔を浮かべる不死川に、義勇はあからさまに「解せぬ……」という表情をしている。

そして、不死川のこの表情には、座敷にいた他の柱達も多少ザワついた。

不死川のキレ顔は数え切れないほど見たことがあったが、こんなに優しい笑顔を見たのは初めてだったからだ。

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