第7章 不死川は…おはぎが好きなのか…
なので咲は、精一杯オブラートに包んだ上で伝えることにした。
「まずは、柱合会議の時に差し入れで持って行ってみてはいかがですか?いきなり義勇さんから直接渡されたのでは、不死川さんも恥ずかしいと思うので…」
「何を照れることがある」
「えっ……えーと……、ホラ、不死川さんは硬派な方じゃないですか。だから、いきなり女性が好むような甘味を渡されたら気まずいと思うんですよね……」
まさか不死川が義勇のことを嫌っているなどとは、このキョトンとした顔を見て言えるはずがなかった。
そんなむごいことは、とても自分の口からは言えない。
不死川が義勇のことを嫌っているということに、咲は割と早い段階、入隊した初期の頃には気づいていた。
義勇は、本人に悪気は全く無いのだが、言葉が足りないことが多々ある。
それにこの無表情が、人によっては「スカしている」「馬鹿にしている」などと誤解を与えてしまうことも多いのだ。
不死川はあのように血の気が多くやや気が短い傾向もあるので、案の定、義勇のそんな態度が気に食わず、顔を合わせれば噛み付いてばかりいる。
それなのに義勇は、聞こえているのか、見えているのかも疑わしいほど、いつもどこ吹く風だ。
そんなところがさらに不死川を苛立たせるのだろう。
とにかく、タイプ的に相性が悪いと言わざるを得ない二人なのだ。
「む……そういうものか」
咲の助言に納得した様子の義勇が頷くのを見て、咲はとりあえずほっと胸をなでおろす。
「では、明日は柱合会議の休憩時間にみんなで食べられるよう、たくさん作って持っていこう。甘露寺も食うだろうしな」
「私もお手伝いしますよ!」
咲はぱあっと表情を明るくすると、腕まくりをしながら大きく頷いたのだった。