• テキストサイズ

【鬼滅の刃/煉獄】冬来たりなば春遠からじ

第2章  逢魔が時


「むっ!!手を擦りむいているじゃないか咲!!これはいかん、すぐに手当てをしなければ!!」

義足の事はすでに知っているのか、杏寿郎がそこには触れずに声を上げる。

「そんな大げさな…ただのかすり傷ですよ」

「いかんいかん!かすり傷とて侮るなかれ!それに、いずれにしても義足がそれでは身動きが取れんだろう」

そう言うやいなや、杏寿郎は咲の体を軽々と持ち上げた。

「わっ!」

唐突にお姫様抱っこをされる形となり、今度は咲の方が狼狽する番だった。

「杏寿郎さん!さすがにこれは…!おんぶでいいです、おんぶで!」

「いや、是非ともこれでいこう!咲、しっかりと俺につかまっていなさい!」

「う……」

「ほら、危ないから首にしっかり腕を回せ!まぁ、間違っても落としはせんがな!」

はははは、と猫のような目をしたまま笑う杏寿郎に押し負けた咲は、がっくりと首をうなだれた。

「……ぐぅ…はい」

帽子の下からわずかに覗いている眉を下げながらも、咲が指示通りにがっしりとした杏寿郎の首に腕を回すと、彼は嬉しそうにニコッと笑顔を浮かべた。

それからやや右足を前に出して踏み込む姿勢を取ると、くるりと炭治郎達の方を向いて言った。

「ここからなら蝶屋敷が近い。君達も一緒に来るといい!」

「は、はいっ」

炭治郎がそう返事をすると同時に、杏寿郎は踏み出していた足に力を込めて、ダッと凄まじい勢いで跳んだ。

「あっ、まっ、待ってくださいー!煉獄さんー!!」

すでに遥か彼方を走る杏寿郎の背中を追って、炭治郎達も慌てて走り出したのだった。

/ 525ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp