第5章 俺達が一緒に
「ありがとう、禰豆子ちゃん……」
もう一度言った時、ボロッと涙がこぼれてしまって、咲は慌てて俯いた。
その時、ふわりと頭に小さな手が乗せられるのを感じた。
何度も何度も優しく頭を撫でてくるその感触に、咲はゆっくりと顔を上げて禰豆子を見る。
「むー」
形の良い眉毛が心配そうにしゅんと下がり、大きな瞳が咲の顔を見上げるように見つめていた。
「……っ」
ありがとう、ありがとう、と言葉にしたいのに涙で詰まって声が出ない。
思わずぎゅうっ、とその小さな体を抱きしめると、自分の背中にも細い腕が回されるのを感じた。
いつの間にか炭治郎が二人の側に来ていて、彼もまた涙を浮かべながら咲の背中を優しくさすってくれたのだった。