第5章 俺達が一緒に
その横では、伊之助がガツガツと喉をつまらせそうな勢いでかきこんでいるし、善逸はそんな伊之助におかずを奪われて叫び声を上げている。
「あーっ!!俺の煮物取るんじゃねぇよ!!あとお前、いい加減箸使えよなぁ!!」
「うるせぇ、紋逸!この世は弱肉強食なんだよ!」
わぁわぁ、と騒いでいる二人の様子に、玄弥や悲鳴嶼、村田は驚いたように箸を止めている。
「うるせぇなぁお前ら……もうちょっと静かに食えよ」
玄弥が僅かに眉を寄せて、騒ぎまくる二人に苦言を呈する。
だが普段の、悲鳴嶼と二人きりの静かな食事を思い浮かべたのか、その声はそれほど嫌そうには聞こえなかった。
それは悲鳴嶼も同じだったようで、賑やかな食卓に、昔寺で子ども達と過ごしていた時の事を思い出したのか、少しだけ涙を流していた。
「だが、やはり行儀が悪い。きちんと座って食べなさい」
ズン、と悲鳴嶼が迫力を持たせた声で言うと、さすがの伊之助も口答えできず、善逸とそろってチョコンと正座をしたのだった。