第5章 俺達が一緒に
「咲、俺達は大丈夫だよ!それより咲の方こそちゃんと手当てしてもらわないとダメだぞ!」
そう言ってニコニコと笑いながら、囲炉裏の中心にぶら下げた鍋をかき回している炭治郎が言う。
任務を終えて腹の減ったみんなのために、炭治郎は食事を作ってくれているのだ。
炭治郎の方こそ手足を包帯でぐるぐる巻きにしているのに、もうすっかり元気を取り戻してテキパキと食事の準備を進めている。
「炭治郎さん、すごく手際がいいですね」
玄弥にあれこれと世話を焼かれながら、炭治郎の動きを感心したように咲は見つめる。
「そうかな?家ではよく母さんの手伝いをして、こうやって作っていたから」
「そうなんですね」
ニコッと笑う炭治郎の優しい笑顔にほっこりしながら、咲は千寿郎と一緒に台所に立っている時のことなどを思い出した。
杏寿郎さんはさつまいもの味噌汁が大好物だから、よく作ったっけ。
そんなことを考えている内に食事の用意が整い、皆で食卓を囲んだのだった。
「美味しい……!」
炭治郎の料理はどれもこれも上手に出来ていて、咲は思わず声を上げてしまった。
「ありがとう!俺、炭焼き小屋の息子だからさ、火加減には自信があるんだ」
咲に褒められて、どやさ!と得意げに炭治郎は笑う。