第2章 逢魔が時
「炎の呼吸 壱ノ型 不知火」
ドオオオン
という爆音と共に、隠に襲いかかっていた鬼の首が空高く跳ね上がった。
「なっ」
炭治郎が声を上げる前に、その熱風は旋回するようにして残り三匹の鬼にも迫り、あっという間に先ほどの鬼と同じように首をはねてしまったのだった。
ボトン、ボト、ボト、ボトン、と四つの首が地面に落下して、鞠の様に地面に転がった。
「怪我は無いか?」
くるりと振り返り、燃える炎のような模様の浮き出た刀を鞘に収めた剣士が、快活な声で言った。
「煉獄さん!!」
「うむ、無事なようでなによりだ!」
そう言って笑ったのは、鬼殺隊最高位に君臨する炎柱の煉獄杏寿郎だった。
彼は、その技同様に燃えるような情熱を持った明朗快活な性格の、隊士達の兄貴分とも言える人物だ。
たまにどこを見ているのか分からないような目をすることもあるが、面倒見は人一倍良い。