第2章 逢魔が時
「邪魔するんじゃねぇよ!ものすげえご馳走を見つけたんだからよォ!」
そう言って、そのうちの一匹が善逸に飛びかかってきた。
「うわーっ!死ぬーっ!死ぬ死ぬ死ぬ、死んじゃうーっ!」
鬼の爪を刀でガキンと防ぎながら、善逸が悲鳴に近い叫び声を上げる。
「落ち着け善逸!落ち着いて戦えばお前なら絶対勝てる!」
同じく鬼の攻撃を防ぎながら、炭治郎が励ますように叫ぶ。
だがそうは言ったものの、彼とて余裕がある訳ではなく、グイグイと鬼の爪がその鼻先に迫っていた。
特殊な術を使える異能の鬼ではないようだったが、やはり腕力は尋常ではなく、気を抜けばすぐに押し負けてしまいそうになる。
ふ、と匂いの流れを感じて、炭治郎がハッと気付いた時には、残り一匹の鬼が、うずくまっている隠の元へと襲いかかっていくのが見えた。
鬼の数は四匹。
対して炭治郎達、剣士の数は三人。
一匹、自由にしてしまったのだ。
「あっ」
危ないっ!!と叫ぼうとした時、ザアッと凄まじい熱風が草木を激しく揺らした。