第5章 俺達が一緒に
怪我人達を村に送り届けた後、そこから近かったこともあり咲達は岩柱・悲鳴嶼行冥の屋敷にて手当てを受けることとなったのだった。
「ホラ、咲、腕出せ包帯巻いてやるから。あと、水飲んだか?体拭いたんだから、藤の花の香水付け直したか?」
甲斐甲斐しく咲の世話を焼いているのは炭治郎……ではなく、意外にも玄弥であった。
「玄弥さん、私は大した怪我してませんから!それよりも他の皆さんの方が……」
ほぼ強制的にぐるぐると包帯を巻かれながら、咲があわあわとして言う。
女の子が苦手であるはずの玄弥がなぜここまで積極的に咲に接することができるのか。
それは咲の担当隊士の中に玄弥も含まれていて、すっかり見慣れているからだった。
それに、確かに女性が苦手な玄弥ではあるが、咲の場合はまず目につくのがその痛々しい義足であり、照れよりも庇護欲の方が先に来るのだ。
そして年の頃も、鬼となった母親に殺されてしまった妹と同じということもあって、玄弥の中で咲は完全に”妹”という位置づけになっていた。