第5章 俺達が一緒に
一方の甚振はと言うと、両手の指を切られて少し驚いたようだったが、すぐにあの鼻につくような笑みを浮かべて言った。
「へえぇ~、お前らみたいな下っ端に、十二鬼月であるこの俺が倒せるかねぇ~」
ザワザワと、甚振の指が再び伸び始める。
と、その時だった。
ジャリリリン、と鎖の鳴るような音が響き渡った。
「……!?なんだぁ?」
甚振が辺りを見回すと、ぬっと木の影から天を突くような大柄の男と、それにはやや劣るものの十分に長身の男が姿を現した。
「まさかと思って来てみれば……、なんと下弦の鬼であったか」
その体格同様に、低く地の底から響いてくるような迫力のある声で大柄な男が言う。
「悲鳴嶼さん!!玄弥!!」
炭治郎が声を上げる。
その表情には、どこか安堵したような色が浮かんでいた。
「く……っ、お前、もしかして柱か!?」
甚振の問いに、悲鳴嶼はゆっくりと手を合わせる。
「……これから死にゆく者に教える必要などない……」
ツウッとその頬を涙が伝った。
ポタリ、と雫が悲鳴嶼の頬から落ちた瞬間、甚振は飛んだ。
悲鳴嶼達とは真逆の方向の暗い森の中へ。